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技術 2026年9月24日

データセンターの冷却バルブは、なぜ空気圧ではなく電動なのか

加工された ISO 5211 パッドに電動アクチュエータを載せたステンレス製3ピースボールバルブ。可とう電線管が制御ケーブルを通し、データセンターの冷却水配管に据え付けられ、背後にサーバラックがぼけて写る

このページの要点

データホールに圧縮空気の本管はありません。あるのは電力、UPS と発電機の後ろに置かれたその電力、そしてラック列まで届く制御ネットワークです。電動アクチュエータは、すでにそこにある三つのインフラを使います。空気圧にするなら、コンプレッサ、ドライヤ、レシーバタンク、そして配管を、水と汚染物を入れないために設計された空間に持ち込むことになります。本当に技術的な判断が要るのは電動か空気圧かではありません。電源が失われたときにバルブが何をするか、そしてアクチュエータの定格が、一日に動かされる回数に耐えられるかどうかです。

決め手になるインフラ

化学工場の機械室を歩けば、配管ラックの上に空気の本管が走っています。計器の半分とバルブの多くがそれを必要とするからです。データホールを歩いても空気の本管はありません。あるのは配電とネットワーク、そして二次側の冷水か温水です。プラントにコンプレッサ室があるのは、何十種類もの機器がそれを使うからです。データホールでは駆動バルブが唯一の需要先になるので、空気系統のコストがまるごとそこに乗ります。

答えの大半はこれで、性能比較に仕立てるより、そのまま言ったほうが正確です。空気圧が劣っているのではありません。存在していないのです。

答えの残り半分は、データホールが実際に持っている三つのインフラが、そのまま電動アクチュエータの求めるものだという点です。電力はラック列ごとにあります。その電力はすでに UPS と発電機の後ろにあるので、アクチュエータは切替を乗り切る負荷として扱えます。そして建物管理システムは、すでに Modbus か BACnet でホール内のあらゆる機器と会話しています。位置を返すアクチュエータは、すでにあるネットワーク上のもう一点にすぎません。

同じ場所を空気圧にすると、指定された等級まで清浄で乾燥した空気源、コンプレッサ停止後に何回動かすかで決まるレシーバタンク、そして 60 から 125 psi を運ぶ配管を、設計意図そのものが流体を電子機器から遠ざけることにある部屋へ引き込むことになります。どれも解決はできます。どれも無料ではなく、どれも電動アクチュエータがすでに提供しているもの以上のものを買うわけではありません。

ネットワークに乗ることの値打ち

開閉するだけの遮断弁なら、現場スイッチで足ります。データセンターのバルブが制御ネットワーク上にあるのは、冷却回路が固定された系ではないからです。ラック負荷は一日のうちに動き、冗長の CDU は入れ替わり、保守では一本の分岐を止めたまま残りを動かし続けます。

そこから三つのことが出てきます。

位置のフィードバック。閉じるよう指令したことと、閉じていることは別です。位置フィードバックのあるアクチュエータは BMS にどちらなのかを伝えます。その区別があるから、オペレータは懐中電灯を持ってホットアイルに入る代わりに、コンソールから分岐を切り離せます。

比例制御。変調型のアクチュエータはバルブを中間位置で保持するので、流量は入切ではなく温度信号に追従します。温水回路では、これが一日中設計流量で回すことと、ラックが実際に必要とする量で回すことの差になります。

温度クラスがここで効いてきます。ASHRAE TC 9.9 は施設側の供給水を最高温度で分類します。W17、W27、W32、W40、W45、W+ で、数字はそのまま摂氏の最高供給温度です。W17 の回路と W45 の回路は別の問題です。クラスが上がるほど一年の多くをドライクーラーだけで排熱できるようになり、同時にバージン PTFE シートの限界に近づくので、シートの選定が自動ではなくなります。シート材質に、その限界がどこにあるかをまとめています。

電源が失われたとき、電動アクチュエータにできる三つのこと 三つの選択肢を並べています。保持:バルブは最後の位置を保ち、蓄えたエネルギーを必要とせず、単純な開閉型アクチュエータの通常の挙動です。ばね復帰:ばねがバルブを既定の位置へ動かし、寸法とトルク要求が増え、方向は製造時に固定されます。蓄電駆動:コンデンサまたは電池がモータを既定位置へ動かし、どちらの方向にも設定できますが、経年する部品に依存します。下の注記:冷却回路では、電源喪失時に遮断弁を閉じることは、まだ発熱している負荷から冷却を取り去ることになるため、安全な位置は既定値ではなく系としての判断です。 保持 最後の位置を保つ 蓄電を必要としない 最小で最も安価 単純な開閉型 アクチュエータの通常動作 回路はそのときの 状態のまま残る ばね復帰 ばねが既定位置へ動かす 電源がなくても動作する 方向は製造時に固定 モータは毎ストローク ばねに打ち勝つ必要がある 同じ弁トルクに対して 本体が大きくなる 蓄電駆動 コンデンサか電池が動かす どちらの方向も現場で設定 同トルクで小型 経年する部品に依存し 定期試験が必要 保守計画に入れなければ それは安全機能とは 言えない 冷却回路では、閉じることが安全とは限らない 電源喪失時に遮断弁を閉じると、まだ発熱している負荷から冷却が失われます。 安全な位置は系としての判断であり、分岐弁とバイパス弁では答えが異なります。
失効位置は仕様書でいちばん空欄のまま残りやすい項目で、切替に失敗した十秒後にホールがどうなるかを決める項目でもあります。

本当の判断は失効位置

防火ダンパや燃料配管なら、安全な位置は明らかです。冷却回路では明らかではなく、反射的な答えが十分な頻度で外れるので、はっきり書いておく価値があります。

ラック分岐を遮断するバルブが電源喪失で閉じると、まだ熱を抱えたハードウェアから冷却を取り去ったことになります。その電源事象が UPS で乗り切れる切替であれば、ラックはまだ電力を引き、まだ発熱しているのに、冷却液の供給だけが止まります。閉じる側は漏れから建物を守り、負荷を熱的な逸脱にさらします。開く側はその逆です。

どちらが正しいかは、そのバルブが何のためにあるかで決まります。同じ回路の分岐遮断弁とバイパス弁が、合理的に反対の答えを取ることがあります。漏えい検知ゾーンの上流側と下流側のバルブも同様です。

仕様として重要なのは、これをアクチュエータ供給側の既定値に任せられないという点です。保持は単純な開閉型の挙動であり、正当な答えのひとつです。それは選ばれるべきであって、アクチュエータの工場出荷設定から受け継ぐものではありません。

直しておきたい一点:デューティサイクル

仕様が誤り、しかも数か月間それが表に出ないのがここです。

電動アクチュエータのモータは IEC 60034 のデューティ区分で定格されます。開閉型は多くが S2、短時間定格で、冷えた状態から数分運転して止まる前提の設計です。変調型に必要なのは S4、始動を伴う反復定格で、しかも百分率に意味があります。S4 25 % は、十分間の枠の中でモータが運転できるのは合計 2.5 分、残りの 7.5 分は熱を逃がすために止まっていなければならない、という意味です。

デューティ区分意味向く用途誤用すると
S2、短時間定格冷間から定められた短時間運転し、停止する一日に数回動く遮断弁変調を求められると過熱する
S4、始動を伴う反復定格始動・運転・休止の反復。百分率が十分間の運転と休止の比を決める温度信号に追従する制御弁百分率が足りなければやはり過熱する。進行が遅いだけ
連続定格制限なく運転できる設定値の周りで絶えず修正するバルブ遮断弁が一生使わない能力に金を払う

この誤用が生む故障は静かです。開閉型を変調回路に付けても、試運転の日には壊れません。動いて、温まり、また動いて、さらに温まり、四か月目のどこかで熱保護が開きます。原因ははっきりしません。バルブに問題はなく、弁体にも問題はありません。そのモータが定格として想定していた始動回数が、この制御回路の求める回数より少なかっただけです。

流量がラック温度に追従して絞られているなら、仕様書がそのバルブを何と呼んでいようと、アクチュエータは変調用途にあります。ラインリスト上の言葉は、モータが一日に何回始動するかを変えません。

弁体の側が担うもの

アクチュエータは、そのために作られた弁体の上にボルトで留まります。弁体側の三点が、この組合せが成立するかどうかを決めます。

取付パッドは加工するもので、足すものではありません。ISO 5211 はフランジ面、ボルト円、そして呼びを定めており、この用途に現れる範囲は F03 から F16 です。パッドは弁体上面の加工された形体で、呼びを一つ変えるとボルト円が変わり、たいていはステムの駆動形も一緒に変わります。ISO 5211 の寸法が、アクチュエータ供給側の見積根拠になります。

ステムはトルクを伝えられなければなりません。ステム上端の駆動形、角、ダブル D、キー溝のいずれも、アクチュエータの穴と合っていなければならず、しかも以前そこにあったレバーではなくトルクに合わせて寸法を決める必要があります。手動レバー仕様のバルブにアクチュエータを後付けする場合、上部フランジだけでなくステムの交換も伴うのが普通です。

モータの大きさを決めるのは始動トルクであって、運転トルクではありません。圧力を受けたまま閉じて置かれていたボールバルブは、動き出すのに必要なトルクのほうが、回し続けるのに必要なトルクより大きくなります。停止している間にシート材がボール表面にクリープで入り込んでいるからです。電動アクチュエータはその一瞬に呼び出せる蓄えを持たないので、余裕はモータの定格の中に入れておく必要があります。液冷が手動バルブを駆動弁に変えつつある理由に、その停止時の挙動をどう測るかをまとめています。

引合いに載せるべきこと

駆動バルブは二つの購買であり、その二つが互いに噛み合っていなければなりません。バルブ側は仕様ガイドにまとめています。アクチュエータ側には次が加わります。

この記事で扱っていないこと

制御弁のサイジングはここには含まれません。変調のために選ぶバルブには Cv の計算と、回路全体に対する弁権限の確認が必要で、それは遮断弁を選ぶ作業とは別物です。Cv とサイジングが出発点になります。

アクチュエータの銘柄選定もここには入りません。デューティ区分、失効位置、ISO 5211 の呼びはいずれも要求そのものの属性で、まともなアクチュエータメーカーはどこもそれを公表しています。その数字を比べてください。その周りの宣伝文句ではなく。

保護等級、危険場所の区分、機能安全の要求はそれぞれ独自の規格の下にあり、漏えい検知の仕組みを持つデータホールでは、以上のどれも想定していない要求が課されることがあります。

よくある質問

データセンターで空気圧アクチュエータはまったく使えないのですか。
使えます。すでに空気源がある場所であれば、ということで、実務上それはホールではなく中央プラントを指します。障害は性能ではなくインフラです。コンプレッサ、ドライヤ、停止後の動作回数から決まるレシーバタンク、そして流体を締め出すことを設計意図とする空間への配管。これらが別の理由ですでに存在する場所であれば、空気圧アクチュエータは動作が速く、ばねによって本質的にフェイルセーフです。これは実際の利点です。
冷却用の遮断弁は、電源喪失時に開くべきですか、閉じるべきですか。
そのバルブが何を遮断しているかによります。電源喪失で閉じれば、まだ熱を持つハードウェアから冷却が失われ、これは熱的なリスクです。開いたままにすれば冷却は保たれますが、漏れの経路が無人のまま残ります。同じ回路の分岐弁とバイパス弁が反対の答えを取ることはあり得ますし、この選択はアクチュエータの既定設定ではなく、回路設計の責任者に属します。
どのデューティ区分を指定すべきですか。
S2 短時間定格は、一日に数回動くバルブに向きます。温度信号に追従するものはすべて S4 反復定格が必要で、百分率は想定される毎時始動回数に合わせます。S4 25 % は十分間の枠ごとに 2.5 分の運転を許します。設定値の周りで絶えず修正するバルブには連続定格が要ります。型番を尋ねる前に、毎時何回始動するかを確かめてください。
なぜ始動トルクのほうが運転トルクより重要なのですか。
アクチュエータが始動したその瞬間に、何の蓄えもなくそれを出さなければならないからです。圧力を受けて閉じている間にソフトシートがボール表面へクリープで入り込むので、長く置かれた後に動き出させるトルクは、回し続けるトルクより大きくなります。カタログの運転トルクでサイジングすると、バルブが実際に置かれている状態に対する余裕が残りません。
レバー付きで納入されたバルブに、後からアクチュエータを取り付けられますか。
できる場合もありますが、ボルト留めではなく機械加工になります。ISO 5211 パッドはボルト円を持つ加工面で、ステムにもアクチュエータに合う駆動形が必要です。ステムが手動レバー用に作られていた場合、たいていは上部フランジとともにステムも交換することになります。取付パッドを試運転時ではなく引合いの段階で決めておく価値があるのはこのためです。

発行:LINS Valve Industrial Co., Ltd.(台湾・台中)。最終更新 2026 年 9 月 24 日。