データセンターの冷却バルブは、なぜ空気圧ではなく電動なのか
このページの要点
データホールに圧縮空気の本管はありません。あるのは電力、UPS と発電機の後ろに置かれたその電力、そしてラック列まで届く制御ネットワークです。電動アクチュエータは、すでにそこにある三つのインフラを使います。空気圧にするなら、コンプレッサ、ドライヤ、レシーバタンク、そして配管を、水と汚染物を入れないために設計された空間に持ち込むことになります。本当に技術的な判断が要るのは電動か空気圧かではありません。電源が失われたときにバルブが何をするか、そしてアクチュエータの定格が、一日に動かされる回数に耐えられるかどうかです。
決め手になるインフラ
化学工場の機械室を歩けば、配管ラックの上に空気の本管が走っています。計器の半分とバルブの多くがそれを必要とするからです。データホールを歩いても空気の本管はありません。あるのは配電とネットワーク、そして二次側の冷水か温水です。プラントにコンプレッサ室があるのは、何十種類もの機器がそれを使うからです。データホールでは駆動バルブが唯一の需要先になるので、空気系統のコストがまるごとそこに乗ります。
答えの大半はこれで、性能比較に仕立てるより、そのまま言ったほうが正確です。空気圧が劣っているのではありません。存在していないのです。
答えの残り半分は、データホールが実際に持っている三つのインフラが、そのまま電動アクチュエータの求めるものだという点です。電力はラック列ごとにあります。その電力はすでに UPS と発電機の後ろにあるので、アクチュエータは切替を乗り切る負荷として扱えます。そして建物管理システムは、すでに Modbus か BACnet でホール内のあらゆる機器と会話しています。位置を返すアクチュエータは、すでにあるネットワーク上のもう一点にすぎません。
同じ場所を空気圧にすると、指定された等級まで清浄で乾燥した空気源、コンプレッサ停止後に何回動かすかで決まるレシーバタンク、そして 60 から 125 psi を運ぶ配管を、設計意図そのものが流体を電子機器から遠ざけることにある部屋へ引き込むことになります。どれも解決はできます。どれも無料ではなく、どれも電動アクチュエータがすでに提供しているもの以上のものを買うわけではありません。
ネットワークに乗ることの値打ち
開閉するだけの遮断弁なら、現場スイッチで足ります。データセンターのバルブが制御ネットワーク上にあるのは、冷却回路が固定された系ではないからです。ラック負荷は一日のうちに動き、冗長の CDU は入れ替わり、保守では一本の分岐を止めたまま残りを動かし続けます。
そこから三つのことが出てきます。
位置のフィードバック。閉じるよう指令したことと、閉じていることは別です。位置フィードバックのあるアクチュエータは BMS にどちらなのかを伝えます。その区別があるから、オペレータは懐中電灯を持ってホットアイルに入る代わりに、コンソールから分岐を切り離せます。
比例制御。変調型のアクチュエータはバルブを中間位置で保持するので、流量は入切ではなく温度信号に追従します。温水回路では、これが一日中設計流量で回すことと、ラックが実際に必要とする量で回すことの差になります。
温度クラスがここで効いてきます。ASHRAE TC 9.9 は施設側の供給水を最高温度で分類します。W17、W27、W32、W40、W45、W+ で、数字はそのまま摂氏の最高供給温度です。W17 の回路と W45 の回路は別の問題です。クラスが上がるほど一年の多くをドライクーラーだけで排熱できるようになり、同時にバージン PTFE シートの限界に近づくので、シートの選定が自動ではなくなります。シート材質に、その限界がどこにあるかをまとめています。
本当の判断は失効位置
防火ダンパや燃料配管なら、安全な位置は明らかです。冷却回路では明らかではなく、反射的な答えが十分な頻度で外れるので、はっきり書いておく価値があります。
ラック分岐を遮断するバルブが電源喪失で閉じると、まだ熱を抱えたハードウェアから冷却を取り去ったことになります。その電源事象が UPS で乗り切れる切替であれば、ラックはまだ電力を引き、まだ発熱しているのに、冷却液の供給だけが止まります。閉じる側は漏れから建物を守り、負荷を熱的な逸脱にさらします。開く側はその逆です。
どちらが正しいかは、そのバルブが何のためにあるかで決まります。同じ回路の分岐遮断弁とバイパス弁が、合理的に反対の答えを取ることがあります。漏えい検知ゾーンの上流側と下流側のバルブも同様です。
仕様として重要なのは、これをアクチュエータ供給側の既定値に任せられないという点です。保持は単純な開閉型の挙動であり、正当な答えのひとつです。それは選ばれるべきであって、アクチュエータの工場出荷設定から受け継ぐものではありません。
直しておきたい一点:デューティサイクル
仕様が誤り、しかも数か月間それが表に出ないのがここです。
電動アクチュエータのモータは IEC 60034 のデューティ区分で定格されます。開閉型は多くが S2、短時間定格で、冷えた状態から数分運転して止まる前提の設計です。変調型に必要なのは S4、始動を伴う反復定格で、しかも百分率に意味があります。S4 25 % は、十分間の枠の中でモータが運転できるのは合計 2.5 分、残りの 7.5 分は熱を逃がすために止まっていなければならない、という意味です。
| デューティ区分 | 意味 | 向く用途 | 誤用すると |
|---|---|---|---|
| S2、短時間定格 | 冷間から定められた短時間運転し、停止する | 一日に数回動く遮断弁 | 変調を求められると過熱する |
| S4、始動を伴う反復定格 | 始動・運転・休止の反復。百分率が十分間の運転と休止の比を決める | 温度信号に追従する制御弁 | 百分率が足りなければやはり過熱する。進行が遅いだけ |
| 連続定格 | 制限なく運転できる | 設定値の周りで絶えず修正するバルブ | 遮断弁が一生使わない能力に金を払う |
この誤用が生む故障は静かです。開閉型を変調回路に付けても、試運転の日には壊れません。動いて、温まり、また動いて、さらに温まり、四か月目のどこかで熱保護が開きます。原因ははっきりしません。バルブに問題はなく、弁体にも問題はありません。そのモータが定格として想定していた始動回数が、この制御回路の求める回数より少なかっただけです。
流量がラック温度に追従して絞られているなら、仕様書がそのバルブを何と呼んでいようと、アクチュエータは変調用途にあります。ラインリスト上の言葉は、モータが一日に何回始動するかを変えません。
弁体の側が担うもの
アクチュエータは、そのために作られた弁体の上にボルトで留まります。弁体側の三点が、この組合せが成立するかどうかを決めます。
取付パッドは加工するもので、足すものではありません。ISO 5211 はフランジ面、ボルト円、そして呼びを定めており、この用途に現れる範囲は F03 から F16 です。パッドは弁体上面の加工された形体で、呼びを一つ変えるとボルト円が変わり、たいていはステムの駆動形も一緒に変わります。ISO 5211 の寸法が、アクチュエータ供給側の見積根拠になります。
ステムはトルクを伝えられなければなりません。ステム上端の駆動形、角、ダブル D、キー溝のいずれも、アクチュエータの穴と合っていなければならず、しかも以前そこにあったレバーではなくトルクに合わせて寸法を決める必要があります。手動レバー仕様のバルブにアクチュエータを後付けする場合、上部フランジだけでなくステムの交換も伴うのが普通です。
モータの大きさを決めるのは始動トルクであって、運転トルクではありません。圧力を受けたまま閉じて置かれていたボールバルブは、動き出すのに必要なトルクのほうが、回し続けるのに必要なトルクより大きくなります。停止している間にシート材がボール表面にクリープで入り込んでいるからです。電動アクチュエータはその一瞬に呼び出せる蓄えを持たないので、余裕はモータの定格の中に入れておく必要があります。液冷が手動バルブを駆動弁に変えつつある理由に、その停止時の挙動をどう測るかをまとめています。
引合いに載せるべきこと
駆動バルブは二つの購買であり、その二つが互いに噛み合っていなければなりません。バルブ側は仕様ガイドにまとめています。アクチュエータ側には次が加わります。
- 供給電圧、およびその電源が UPS 側か、発電機側か、どちらでもないか
- 制御信号:開閉、フローティング、アナログのいずれか。ネットワーク型ならプロトコルも
- 必要なフィードバック:位置、トルク、故障、または不要
- 失効位置。プロジェクト単位ではなくバルブの機能ごとに明記する
- デューティ区分と百分率。想定される毎時始動回数に基づいて決める
- 想定される最長の閉止放置後の始動トルク。カタログの運転トルクではない
- ISO 5211 の呼びとステムの駆動形
- 設置場所に応じた保護等級。液冷のあるホールでは、事務所の天井内と同じではない
この記事で扱っていないこと
制御弁のサイジングはここには含まれません。変調のために選ぶバルブには Cv の計算と、回路全体に対する弁権限の確認が必要で、それは遮断弁を選ぶ作業とは別物です。Cv とサイジングが出発点になります。
アクチュエータの銘柄選定もここには入りません。デューティ区分、失効位置、ISO 5211 の呼びはいずれも要求そのものの属性で、まともなアクチュエータメーカーはどこもそれを公表しています。その数字を比べてください。その周りの宣伝文句ではなく。
保護等級、危険場所の区分、機能安全の要求はそれぞれ独自の規格の下にあり、漏えい検知の仕組みを持つデータホールでは、以上のどれも想定していない要求が課されることがあります。
よくある質問
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